抄録
本研究の目的は、経済学の効用理論の視座から若者の情報行動を把握することである。本研究では、効用を3つの情報(知的、感覚的、情緒的)に対する主観的満足感として定義した。実証分析では、大学生(N=277)を対象とした調査票調査を実施した。自由回答で得られたデータは計量テキスト分析によって集計・解析した。
分析の結果、若者は主にSNSを利用することで情報効用を満たしていた。しかし、3つの情報効用をまとめて充足するためには、情報効用を結びつけるハブ的な役割としてマス・メディアとパーソナルな存在が必要であった。また、知的情報と感覚的情報に対する効用に境界線の曖昧さがみられた。若者はこれらの情報効用を充足するのに迅速性を求めていることが示唆された。こうした若者の即座な情報収集の欲求が、日々消費される多くの情報の中で混同を招いていると結論づけた。
キーワード:ヤングアダルト、情報行動、効用理論、計量テキスト分析