群馬保健学研究
Online ISSN : 1343-4179
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慢性疾患患者教育における自己効力感を高める看護 ―慢性疾患看護専門看護師によるProfessional Learning Climateを用いた一事例―
松本 光寛 岡 美智代
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 44 巻 p. 57-61

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抄録
本事例は,医療者の対応に不満があり,セルフケア行動を生活習慣へ組み入れることが困難な患者に対し,慢性疾患看護専門看護師(以下:CNS)がProfessional Learning Climate(以下:PLC)を意識して自己効力感を高めるための支援を実施した結果,患者に行動変容が見られた一事例である。 慢性疾患をもつ患者は習慣化した生活習慣を変え,増悪予防や維持に向けて療養行動を生活に組み入れることが求められる。患者の自己効力感を高めることは積極的で効果的な行動が実施され,情緒的に安定した状態を保つことができる。また,自己効力感を高める源の一つに,言語的説得があり,PLCを用いた支援が有効であると考えB氏への支援を行った。 B氏(50歳代)は10年前より通院をしており,今回の入院は7回目である。B氏は1か月前にも心不全にて入院しており,入院までの自宅療養期間が短縮しつつあった。医師・看護師から相談を受けたCNSはPLCを意識し,B氏を信じ,尊重し信頼関係の構築に努めた。CNSはB氏の語り一つ一つを丁寧に吟味し,B氏の自己効力感が高まるようB氏の強みを称賛しつつ困難事への支援を進めていった。具体的には,CNSが,B氏の楽しみを尊重した目標をB氏と共に立案し,実現可能な方法を提案するなどの支援である。その結果,B氏は成功体験を重ね,自己効力感が高まり行動変容につながった。
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