痛風と尿酸・核酸
Online ISSN : 2435-0095
原著 3
新規尿酸排泄促進薬(ドチヌラド)の使用経験
大山 博司大山 恵子諸見里 仁田淵 大貴藤森 新
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2022 年 46 巻 1 号 p. 29-36

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抄録

尿酸排泄促進薬は尿酸トランスポーター(urate transporter 1: URAT1)を阻害することで尿中尿酸排泄を増加させて尿酸降下作用を発揮する.尿酸排泄促進薬のプロベネシドとベンズブロマロンはURAT1の他にも尿酸輸送に関与するトランスポーターを阻害するが,これらの薬剤に比較して他のトランスポーターに影響することなく特異的にURAT1の阻害作用を発揮するドチヌラドが臨床現場で使用されるようになった.当クリニックに通院し,2021年1月から9月までに尿酸降下薬としてドチヌラドが投与された痛風・高尿酸血症患者の中で血清尿酸値6mg/dL以下を達成できている患者108例を新規投与例とし,同期間にベンズブロマロンがドチヌラドに変更された113例を変更例として,ドチヌラドの尿酸コントロール状況について後方視的に検討した.治療目標値である血清尿酸値6mg/dL以下の達成には投与前の血清尿酸値が高値であるほど高用量の投与が必要であったが,投与量0.5mgで44例(40.7%),1mgで40例(37.0%),2mgで17例(15.7%),3mgで6例(5.6%),4mgで1例(0.9%)が6mg/dL以下を達成できており,8割近くが1mg以内で目標値が達成されていた.変更例では変更前の血清尿酸値5.7±1.2mg/dLが変更後は5.4±1.0mg/dLに有意に低下し,腎機能低下例(eGFR<60mL/min/1.73m2)でも5.9±1.2mg/dLから5.5±1.1mg/dLに有意に低下していた.ドチヌラドはベンズブロマロンより尿酸低下作用は幾分強力であり,その作用は腎機能低下例においてより強力であると考えられた.

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© 2022 一般社団法人日本痛風・尿酸核酸学会
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