痛風と尿酸・核酸
Online ISSN : 2435-0095
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痛風と尿酸・核酸
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総説
症例
  • 藤森 新, 大山 恵子, 久住 真砂子, 諸見里 仁, 田淵 大貴, 大山 博司
    2022 年 46 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2022/07/25
    公開日: 2022/07/25
    ジャーナル フリー

    症例は50歳の女性で,8年前からフロセミドやトラセミドの乱用を続け,高尿酸血症(11-13mg/dL)をきたして痛風発作を繰り返していた.腹部超音波検査では両側腎髄質の高エコー所見(hyperechoic medulla)を認めた.当院で2017年から2021年までの5年間に痛風・高尿酸血症患者に施行した腹部超音波検査5208例の中で,hyperechoic medulla所見を呈した症例は22例に過ぎず,hyperechoic medulla所見は稀な所見と考えられた.その中で尿酸降下治療が5年以上行われた11例について複数回施行された腹部超音波検査所見を見直したが,hyperechoic medulla所見の改善はみられなかった.重症痛風症例502例の36%に,可逆的なhyperechoic medulla所見を認めたとするベトナムからの報告と異なる結果が得られたことから,痛風・高尿酸血症患者にみられるhyperechoic medulla所見が可逆的な尿酸塩結晶沈着によるものか,非可逆的な腎髄質の基質変化によるものかを解明する必要があると考え報告した.

原著 1
  • 春原 伸行, 佐藤 直子, 向井 正法, 西 亨
    2022 年 46 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2022/07/25
    公開日: 2022/07/25
    ジャーナル フリー

    尿酸値は男性に比して女性で有意に低く,これは主に女性ホルモンの排泄亢進作用に依るものとされる.この女性ホルモンの影響が著減した年齢層においては尿酸値の男女差が縮小することが知られている.今回我々は内科外来通院患者の尿酸排泄の男女差を50歳以上男性(男性群n=26)と閉経後女性(女性群n=31)において後ろ向きにデータを収集し比較検討した.結果,この年齢層において血清尿酸値の男女差の有意差は消失していた(男性群5.3±1.1mg/dl,女性群4.8±1.2mg/dl,p=0.110)が,尿酸排泄は閉経後でも女性が有意に多い(尿中尿酸/クレアチニン比;男性群0.47±0.13,女性群0.69±0.23,p<0.001,FEUA;男性群7.7±2.6%,女性群9.7±3.2%,p=0.018)ことが確認された.この尿中尿酸/クレアチニン比は男女ともに推定塩分摂取量と正の相関(男性R2=0.485,p<0.001,女性R2=0.521,p<0.001)を示していたが,この傾きは女性の方が強かった.閉経後女性において塩分摂取により尿酸排泄が亢進し,血清尿酸値が低値である症例の存在がみられた.このことは,女性で心血管イベントリスクが最小を示す尿酸値が男性よりも低くなるという現象を説明しうる仮説の1つであると考えられる.

原著 2
  • 藤森 新, 大山 恵子, 諸見里 仁, 田淵 大貴, 大山 博司
    2022 年 46 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2022/07/25
    公開日: 2022/07/25
    ジャーナル フリー

    新型コロナウイルスワクチンは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症と重症化予防に大きく貢献しているが,種々の副反応に悩まされる接種者も多い.2021年10月に外来通院中の痛風患者にアンケート調査することで,COVID-19ワクチン接種と痛風発作の関連を検討した.無記名回答,重複回答,無症候性高尿酸血症患者を除外した痛風患者1,720例のうちワクチン接種を済ませた1,480例の中で,20例(1.35%)がワクチン接種3日以内に痛風発作を起こしたと回答していた.ワクチンの種類による差はみられなかった.13例は尿酸降下薬による治療中で,そのうちの10例については血清尿酸値のコントロールは概ね良好であった.また,アンケート調査の回答に加えて診療録の記録も考慮すると57例(3.58%)の患者がワクチン接種後に痛風発作が起こりやすくなっていたと判定された.ワクチン接種が痛風発作のリスクを高めるとの報告があり,ワクチン製剤に含まれるアルミニウムアジュバントが自然免疫機構におけるNLRP3インフラマソームを活性化して痛風発作をきたす機序が推察されているが,COVID-19ワクチンにはアルミニウムアジュバントは含まれていない.COVID-19ワクチン接種による痛風発作の発症機序については不明と言わざるをえないが,痛風発作はCOVID-19ワクチンの副反応の一つである可能性が示唆された.

原著 3
  • 大山 博司, 大山 恵子, 諸見里 仁, 田淵 大貴, 藤森 新
    2022 年 46 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 2022/07/25
    公開日: 2022/07/25
    ジャーナル フリー

    尿酸排泄促進薬は尿酸トランスポーター(urate transporter 1: URAT1)を阻害することで尿中尿酸排泄を増加させて尿酸降下作用を発揮する.尿酸排泄促進薬のプロベネシドとベンズブロマロンはURAT1の他にも尿酸輸送に関与するトランスポーターを阻害するが,これらの薬剤に比較して他のトランスポーターに影響することなく特異的にURAT1の阻害作用を発揮するドチヌラドが臨床現場で使用されるようになった.当クリニックに通院し,2021年1月から9月までに尿酸降下薬としてドチヌラドが投与された痛風・高尿酸血症患者の中で血清尿酸値6mg/dL以下を達成できている患者108例を新規投与例とし,同期間にベンズブロマロンがドチヌラドに変更された113例を変更例として,ドチヌラドの尿酸コントロール状況について後方視的に検討した.治療目標値である血清尿酸値6mg/dL以下の達成には投与前の血清尿酸値が高値であるほど高用量の投与が必要であったが,投与量0.5mgで44例(40.7%),1mgで40例(37.0%),2mgで17例(15.7%),3mgで6例(5.6%),4mgで1例(0.9%)が6mg/dL以下を達成できており,8割近くが1mg以内で目標値が達成されていた.変更例では変更前の血清尿酸値5.7±1.2mg/dLが変更後は5.4±1.0mg/dLに有意に低下し,腎機能低下例(eGFR<60mL/min/1.73m2)でも5.9±1.2mg/dLから5.5±1.1mg/dLに有意に低下していた.ドチヌラドはベンズブロマロンより尿酸低下作用は幾分強力であり,その作用は腎機能低下例においてより強力であると考えられた.

原著 4
  • 大山 博司, 大山 恵子, 諸見里 仁, 田淵 大貴, 藤森 新
    2022 年 46 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2022/07/25
    公開日: 2022/07/25
    ジャーナル フリー

    3種の尿酸降下薬で治療中の痛風・高尿酸血症患者を対象(ドチヌラド投与108例,ベンズブロマロン投与62例,フェブキソスタット投与56例)に,血清尿酸値が6mg/dL以下を達成できている時点で,随時尿中尿酸/クレアチニン比(UUA/UCr)と尿酸排泄分画(FEUA)を求めて,投与薬物間での違いを比較した.ドチヌラド投与群では1日平均投与量1.1±0.7mgで血清尿酸値5.3±0.6mg/dL,UUA/UCr 0.504±0.210,FEUA8.5±4.1%,ベンズブロマロン投与群は1日平均投与量48.5±22.3mgで血清尿酸値5.0±0.6mg/dL,UUA/UCr 0.541±0.210,FEUA9.8±3.7%,フェブキソスタット投与群は1日投与量31.1±13.6mgで血清尿酸値5.1±0.7mg/dL,UUA/Ccr0.215±0.079,FEUA4.0±1.1%で,UUA/CcrとFEUAはフェブキソスタット投与群で2種の尿酸排泄促進薬に比較して有意に低値であった.ドチヌラド投与群では薬物投与量とUUA/Ccrに弱い正の相関がみられたが,ベンズブロマロン投与群では薬物投与量とUUA/Ccrに相関関係はみられず,むしろ投与量が少量の方がUUA/Ccrは多い傾向であった.外来通院中で尿酸排泄促進薬を服用している患者のUUA/UCrが一定でないのはプリン体摂取量の多寡に起因しているのではないかと推察される.随時尿で求めたUUA/UCrをgクレアチニン(gCr)で補正して表現するとドチヌラドやベンズブロマロンなどの尿酸排泄促進薬では尿路結石のリスクと推定される24時間尿中尿酸排泄量が800mg/日を超える患者が少なからず存在する.今後,尿酸降下薬で治療中の患者における尿酸排泄量とプリン体摂取量の関係を検証する必要があるが,尿酸排泄促進薬によって血清尿酸値が目標値に維持されている場合も,尿中尿酸排泄量を考慮してプリン体摂取制限を含めての食事療法を継続する必要があると考えられた.

原著 5
  • 鈴木 奈都子, 大瀧 陽一郎, 渡辺 昌文, 上野 義之, 矢口 友理, 今枝 奈保美, 後藤 千穂, 今田 恒夫
    2022 年 46 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2022/07/25
    公開日: 2022/07/25
    ジャーナル フリー

    本研究では,地域住民の血清尿酸値と習慣的な食事との関連を横断的に検討した.対象者は2009年〜2015年の地域住民健診受診者の中で,食物摂取頻度調査票を記入し,血清尿酸値データをもつ12,443人(男性5,647人,女性6,796人,平均年齢63歳)である.健診時血清尿酸値と食物摂取頻度調査から算出した19食品群の摂取重量との関連を男女別に解析した.血清尿酸値の平均は男性5.8±1.3 mg/dL,女性4.5±1.0 mg/dLであった.背景因子(年齢,BMI,eGFR)で補正した重回帰分析で,血清尿酸値と有意な正の関連を示したのは,男性ではアルコール,魚介類,負の関連を示したのは牛乳・乳製品,パン類,米類,菓子類で,女性では,有意な正の関連を示したのは魚介類,麺類,負の関連を示したのは大豆・大豆製品類,牛乳・乳製品であった.背景因子で補正したロジスティック回帰分析による高尿酸血症(>7.0mg/dL)のオッズ比は,男性では魚介類,アルコールで上昇,米類,コーヒー,パン,牛乳・乳製品で低下,女性ではコーヒーで低下した.以上の結果から,地域住民において,血清尿酸値には,腎機能・BMI・年齢などの身体的因子とは独立して,様々な食品群の摂取が関連し,その関連性は男女で異なる部分があることが示唆された.

第55回日本痛風・尿酸核酸学会総会記録
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