本研究では,地域住民の血清尿酸値と習慣的な食事との関連を横断的に検討した.対象者は2009年〜2015年の地域住民健診受診者の中で,食物摂取頻度調査票を記入し,血清尿酸値データをもつ12,443人(男性5,647人,女性6,796人,平均年齢63歳)である.健診時血清尿酸値と食物摂取頻度調査から算出した19食品群の摂取重量との関連を男女別に解析した.血清尿酸値の平均は男性5.8±1.3 mg/dL,女性4.5±1.0 mg/dLであった.背景因子(年齢,BMI,eGFR)で補正した重回帰分析で,血清尿酸値と有意な正の関連を示したのは,男性ではアルコール,魚介類,負の関連を示したのは牛乳・乳製品,パン類,米類,菓子類で,女性では,有意な正の関連を示したのは魚介類,麺類,負の関連を示したのは大豆・大豆製品類,牛乳・乳製品であった.背景因子で補正したロジスティック回帰分析による高尿酸血症(>7.0mg/dL)のオッズ比は,男性では魚介類,アルコールで上昇,米類,コーヒー,パン,牛乳・乳製品で低下,女性ではコーヒーで低下した.以上の結果から,地域住民において,血清尿酸値には,腎機能・BMI・年齢などの身体的因子とは独立して,様々な食品群の摂取が関連し,その関連性は男女で異なる部分があることが示唆された.
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