2019 年 65 巻 3 号 p. 173-183
チモシーのシバムギとリードカナリーグラスに対する競合力の無競合条件での間接選抜の可能性とマメ科牧草に対する競合力選抜方法であるシロクローバ(WC)競合条件選抜の有効性について,チモシーの20もしくは25栄養系を用いた2試験から検討した。その結果,本競合力の指標の雑草競合条件での2か年合計乾物重に対し,無競合条件での早春・1および2番草の草勢,2番草草高について比較的強い遺伝相関と間接選抜効率が認められ,重回帰分析と正準判別分析からはその他に1番草茎数密度,2番草節間伸長茎割合が有意に選択され,これらを指標とした無競合条件での間接選抜の有効性が示唆された。一方,WC競合条件でのこれら解析結果からは,間接選抜の適用は困難であり,本選抜のみでは不十分な場合もあることが示唆された。