2025 年 98 巻 4 号 p. 195-208
大分県国東半島において,離岸距離1 km以内の沿岸域にある海底地下水湧出(Submarine Groundwater Discharge: SGD)を検出するために,ラドン(222Rn)・塩分曳航観測システムとミキシング・ダイアグラムによりSGDの空間分布を推定し,地理情報との関係を中心に考察した.曳航観測距離は104.7 km,河川水,地下水調査は14地点で,それぞれ222Rn濃度,EC,水温データを収集した.その結果,国東半島南部や北部を中心にSGDが認められた.南東部一部地域では,222Rn濃度の高いSGDもしくは再循環性海水と考えられる地点も認められた.SGDが多く分布する地域の地形は上流域から海岸までの距離が短く,勾配が急峻であることが特徴であった.湧水地点が多い地域は,ため池が低密度に分布し,SGDも多く分布することから,地下水が豊富であると推定された.一方,北部や南東部は一意的な関係はみられなかった.そのため,水文解析によってため池の貯水量などを把握することが今後の課題である.