抄録
著者は本学農村厚生医学研究所によつて行われて来た農村の実態調査に関する綜合調査研究の中,特に海濱村の調査を分擔し,舊三浦郡長井村を研究の対象にとつた.それ等の調査に就ては既に報を追つて報告しているが,たまたまそれらの農村の実態調査中,著者は本地区学童に魚鱗癬の多発することを認め,本疾患の診断面に就ては本学皮膚科原田敎授以下の指導を得て,これ等の調査に着手した.本村は既に上記調査報告第1報に於いて述べた如く,三浦半島南部にあつて,北方及び西方は相模湾に面し,東北方は舊武山村に(現横須賀市武山),東より南にかけて舊初聲村(現三浦市初聲町)に境し,三浦郡葉山町と初聲町の中間に位して,行政上は近年横須賀市に属するに至つたとはいうものの実際は純農漁村である.即ち都会近隣地区として都会の消費に直結する農漁村である爲の相当富裕な半漁半農に牧蓄を加へた地区であるが,その生活は依然として農村の舊態を維持している.かゝる海濱地区にかくの如く魚鱗癬が多発することが何によつて起るかに就ては,目下のところ不明であるので,著者は本地区を研究の対象とした調査を進め,その結果に就て檢討を加えようとした.本報に於いてはまず学童の魚鱗癬多発状態に就て実態調査の結果に就て報告する.