地理学評論
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日本四輪自動車工業の地域的展開
北村 嘉行
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1961 年 34 巻 6 号 p. 326-343

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抄録
筆者は,自動車工業の分布を調査することによつて,その地域的展開の一般構造を理解したいと思つた.自動車工業のような組立工業は,他の機械器具工業などとともに,大都市に分布している1).
自動車工業の地域的展開は,その地域的な立地因子2)の顕現というよりも,むしろ,親工場となる組立工場を中心にした地理的な配置構造3)の中で決定される.自動車工業立地の基体となつたものは,一般に,機械工業である.組立工場は,関連産業と用地とを立地の要件として,大都市の郊外や埋立地などに立地した。組立工場の周辺に侭単一部品工揚と車体工場が分布し,さらに,その外辺へと完成部品工場が分布することによつて,自動車工業の核心地域を形成する.やがて,需要の増大と国防的要因とによつて車体工業に特色のある衛星工業地域が核心地域から派生した.さらに,その外側には完成部品工業の単独地域が形成されている.このようにして,自動車工業の統一地域4)=工業圏が構成される.核心地域と工業圏の内部における本工業生産の地理的配置構造は全く同一であり,生産の増大によつて,核心地域が工業圏に拡大されたと言える.そして,本工業のこの地域的展開の構造は,常に一定している.
わが国における四輪自動車工業の地域構成は, 10区分され, 3工業圏2地方区1連節地帯に概括される.京浜・中京・阪神を核心とする三つの工業圏があるが,中京の部品工業の発達はいまだ不完全であり,阪神には部品工場が分布していない.しかし,軽自動車の出現や三輪車工業から四輪車生産への進出などによつて,本工業はさらに発達し,この地域的展開が充足されよう.
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