地理学評論
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都市の過密とゴム工業の関連
神戸市長田区
稲見 悦治藤岡 ひろ子
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1971 年 44 巻 5 号 p. 333-346

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抄録
都市における工業化は地域の開発を促す効果が高いため,新産業都市のごとく,工場の誘致によってそれを促進しようとする試みもあるが,長い間の伝統的な生産体系により形成された既成の工業地帯にば,都市の機能を健全に保つことの不可能な障害を地域に与える場合があり,工業化は必ずしも健全な都市化を招来しない.
神戸市のゴム工場は神戸の主要輸出産業であったマッチ工業の衰退の時期にその余剰労力を吸収し,神戸港の地の利を得て西神戸に立地した.その生産体系は極めて零細で,マッチ工業以来の分業的地域集団を継承し,地域特有の貸工場制度を発展させてきたが,ゴム工業発達段階の高い地域ほど過密で,その結果おこる火災の多発・病害・大気汚染など都市の問題がきわめて多い.この地域の再開発計画や,既に着手された整備事業もあるが,地域の形成過程に歴史的要因がからんでいて再開発に種々の問題が残されている。
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