日本歯科理工学会学術講演会要旨集
平成16年度秋期第44回日本歯科理工学会学術講演会
セッションID: 2S-01
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ハイドロキシアパタイトコーティング人工歯根の是非
*青木 秀希
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キーワード: 高齢者, 人工歯根, 研究開発
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抄録
1.はじめに  人工歯根の需要が年々増大している。現在の人工歯根の素材はチタン金属が主流である。チタン合金やハイドロキシアパタイト(HA)コーティングの人工歯根も普及している。チタン合金はチタン金属に比べて機械的強度に優れていること、アパタイトコーティングは骨新生が早いことが特徴である。HAコーティングは金属イオンの溶出抑制にも効果的である。骨結合力や生体親和性に優れた特性をもつHAコーティング人工歯根は、何故普及が遅いのであろうか? 2.ハイドロキシアパタイトコーティングの問題点  ハイドロキシアパタイトの多孔体が、整形外科や歯科領域で骨補填材として広く臨床応用されていることは周知の事実である。骨形成能に優れているからである。骨内に埋入されたアパタイト多孔体は、自家骨と置換される速度はきわめて遅いので体内で永久的に残存することも事実である。残存していても邪魔にならなければいいのだが、大きな骨欠損部に多量にアパタイト骨補填材を埋入すると長期間経っても中心部の補填材が動くなどの不都合が生じる。このことは人工歯根にも言える。HAコーティング層が10μ以上厚ければ、およそ10年以上は顎骨内に残存する。人工歯根が長期間機能する上でコーティング層が邪魔にならないためには、コーティング層のHAと基材のチタン金属との接着力が大きいことや、HAがコーティング層内で破壊が起こらない機械的強さを持っていることである。すなわち剥離や脱離が起きにくいからである。しかし、これらを解決することはきわめて難しい。なぜなら両者の結晶構造(原子構造)がまったく異なることや、金属結合のチタンとイオン結合のアパタイトが強く結合することは不可能であるからである。またアパタイト結晶やアパタイト焼結体(セラミックス)の機械的強さも、大きな咬合力や繰り返しの衝撃に耐えるには小さい。 3.ハイドロキシアパタイトコーティングの問題点の解決法 1)アパタイトコーティング層の機械的強さの増大:アパタイトセラミックスの圧縮強さは大きいが、引っ張りや曲げ強さはアルミナなどのセラミックスに比べて小さい。破壊靱性値は金属に比べて10分の1以下である。複合材とする以外解決法はない。 2)アパタイトと基材との結合力:上記したように、アパタイトとチタンの結晶構造や化学結合の違いから両者の結合力を大きくすることは物理的結合力に頼るしかない。すなわち、プラズマ溶射法はチタンの表面に凹凸をつけアンカリングによる機械的に結合力を大きくするしかない。中間層にペロブスカイトCaTiO3のようなものをコーティングすることも考えられるが、金属―ペロブスカイトーハイドロキシアパタイトー骨といった界面が増えることによる問題も起きてくる。新しいコーティング法が熱望される。 3)HAコーティングが残存する:コーティングの厚みを薄くすることにより吸収を早くすることが考えられる。骨置換速度を1μm/年とすると1μm以下が望ましいといえる。しかしあまり薄いと埋入初期の炎症時にほとんど吸収されてしまう。 4.ハイドロキシアパタイトコーティングの今後  スパッタリング法によるHAコーティングは、HAとチタン金属との結合力が大きく、HAコーティングの厚みは1μm前後と薄く、埋入初期の骨新生も早く、期待されるコーティング法の一つである。
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© 2004 日本歯科理工学会
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