抄録
演者らはこれまで、貴金属·非貴金属合金両用接着プライマー(ALLOY PRIMER以下A-primer、KURARAY MEDICAL Co.)に含まれる複数の分子種10-methacryloyloxydecyl dihydrogen phosphate(M10P)と6-(N-(4-vinylbenzyl)propylamimo)-1,3,5-triazine-2,4-dithione(VBATDT)が関与する金属接着の機構を分子レベルで理解するため、1. 各種金属表面上にできる多様な吸着層の生成条件を確認し、2. 吸着条件により異なる分子構造を赤外反射吸収(IRA)法などで調べてきた1∼7)。今回は、多様な金属に接着促進効果を与える上記の両モノマー分子の混合溶液から、銀と銅基板表面に数分子層程度の膜厚で生成し、主にVBATDTから構成される化学吸着層の詳細について、赤外·ラマン分光法を用いて調べた。また、臨床歯科においてより適した条件を検討するため、これまでの金、銀、銅基板の場合に加えて、パラジウム基板とこれらからなる合金を基板とした場合についても調べた。
今回は、VBATDTからなる吸着層の形成にM10Pが影響を及ぼすこと、金銀パラジウム合金の基板表面では、パラジウム、銅基板の場合と同様に、(VBATDTが優先的に吸着する金基板の場合とは対照的に、)M10Pも吸着することがわかった。