抄録
口腔内に装着されている金属材料に後から金属材料を接合したい症例がある。すなわち, 矯正治療のために装着されている鋳造冠にブラケットを装着するとき, 装着されている矯正用バンドに治療途中で矯正線を追加するとき, 顎口腔外科領域の顎間固定用フックを治療中に装着するとき, その他傾斜歯やロングスパンのブリッジで冠を連結するとき, などの症例において口腔内で溶接が可能となれば, 新しい効率の良い治療術式の創出が可能になると考える。著者らは歯科用レーザを用いて口腔内での溶接を行ったところ, 極めて良好な結果を得た。そこで, 溶接後の性質をしらべるために鋳造冠とブラケットおよび矯正用バンドと線を溶接し, 上昇温度, 引張り試験ならびに溶接状態の観察を行った。
歯科用レーザを用いて金銀パラジウムの鋳造冠とブラケットおよび矯正用バンドと線を溶接し, 以下の結論を得た。1. レーザ照射によるエナメル質直下の上昇温度は数度とわずかであった。2. 溶接された金属の引張り強さは10kgf以上で, 剥離せずブラケットおよび矯正用バンドの破切が生じた。3. 口腔内でのレーザ溶接は操作性が良く, 十分な固定ができた。