抄録
アニオン性高分子であるDNAを素材とした新しい生体分解能性材料を開発するために、各種のカチオン性人工脂質と反応させて合成したDNA/人工脂質複合体の機能について検討している。その一環としてDNAにn-アルキルアルコールとL-アラニンから合成した各種カチオン性人工脂質を反応させたところ水不溶性で粉末状のDNA/人工脂質複合体が得られた。これらDNA/人工脂質複合体はフィルム化が可能であり、生体親和性に優れているところから、生体材料として極めて有望である1)。しかし、フィルム化およびDNA/人工脂質複合体の機能と人工脂質の化学構造との関連などについては不明な点もある。そこで、n-アルキルアルコールとアミノ酸からなる各種カチオン性人工脂質を合成し、これら人工脂質とDNAとの複合化を試みた。そして、人工脂質の化学構造とフィルム化との関連やDNAフィルムの物理化学的性質について検討することにした。
以上より、DNAのフィルム化およびDNAフィルムヘのインターカレーションと人工脂質の化学構造とには相関があることが明かとなった。また、複合化がDNAの立体構造に変化を与えないことも明らかとなった。