抄録
二酸化チタン光触媒は光を照射することによって大気中や水中の有機化学物質を分解することができるため環境浄化材料として盛んに研究されすでに応用が進んでいる。我々はこの光触媒を歯科医療に応用できないか検討を進めており, 今までに歯の漂白材や入れ歯の洗浄剤に関してその得られた知見を報告した。特に歯の漂白では従来の光触媒では380nm以下の波長の紫外光にしか反応しなかった点を改良し, 400から500nmの可視光でも活性化する歯の漂白システムを開発し3.5%の過酸化水素と複合化することで顕著な効果を得, 現在臨床試験を進めている。また入れ歯の洗浄では二酸化チタンと微量の酸を水に溶かした溶液がメチレンブルーの脱色に効果があることを確認し, 実際に入れ歯をこの洗浄溶液に入れ, 日中室内に放置することでヤニや歯石が効果的に除去できることを見いだしている。本研究ではモデルとして作製したヘマトポルフィリン染色紙やヤニ染色紙について二酸化チタン光触媒を応用した洗浄剤により脱色できるか検討した。
以上のように, 二酸化チタンと微量の酸等を用いた洗浄剤により, 光を照射する事でヘマトポルフィリンやたばこのヤニを脱色することができることがわかり, 入れ歯等の洗浄剤として応用できる可能性が示唆された。