肺癌
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症例
ペムブロリズマブを開始後,急激な進行で死亡したPD-L1高発現のSMARCA4欠損大細胞肺癌の1剖検例
今尾 舞田中 悠也池内 美貴山本 浩生久米 佐知枝稲尾 崇門田 和也大塚 浩二郎大林 千穂鈴木 雄二郎
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2024 年 64 巻 1 号 p. 22-27

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抄録

背景.近年,胸部SMARCA4欠損の未分化腫瘍がWHO分類第5版で新たに分類され注目されている.一方で非小細胞肺癌の10%にSMARCA4欠損がみられると報告されているが,その臨床的意義などは明らかにされていない.症例.87歳,男性.胸部CTで右下葉肺癌を疑われ,当院に紹介された.精査にてSMARCA4欠損非小細胞肺癌(cT2aN3M1c,stage IVB)と診断した.PD-L1高発現でありペムブロリズマブを開始したが,呼吸状態の悪化を認め治療開始15日目に永眠された.治療開始13日目の胸腹部CTでは原発巣の増大に加え両側胸水の増加およびリンパ管症を疑う広義間質の肥厚を認めていた.剖検ではSMARCA4欠損の大細胞肺癌(yaT4N3M1c,stage IVB)と最終診断した.リンパ節転移が高度であり,顕微鏡的に両側副腎,甲状腺および肺のリンパ管内に転移を認めた.結論.ペムブロリズマブ投与後に急激な経過で死亡したSMARCA4欠損大細胞肺癌の症例において剖検を施行したため,文献的考察を加えて報告する.

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© 2024 日本肺癌学会
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