高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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教育講演
運動制御の理論モデルを背景にした神経心理学症状の理解─書字障害を中心に─
福澤 一𠮷
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2021 年 41 巻 3 号 p. 273-279

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抄録

  人間の認知的バイアスは神経神学的症状である書字障害を捉える場合にも必ず伴うものである。本稿ではそのバイアスを計算論的神経科学においている。計算論的神経科学では事象理解にあたり不良設定問題を設定し, 脳がそれを解いていると仮定する。例えば, まず, 複雑な書字運動を単純な到達運動の組み合わせとして捉えてみる。到達運動の起点から終点までの軌道は無数に存在する。したがって, その無数の軌道から 1 つを選択するという不良設定問題を解かなくてはならない。つまり, 書字運動は到達運動における不良設定問題を解くことに置き換えられる。本稿ではその不良設定問題を解くためのモデルとしてトルク変化最小規範 (Uno ら 1989) に言及する。そして, 運動における経由点表現の障害を仮定して書字運動障害について考察する。

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© 2021 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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