発達障害は神経発達症とも呼ばれ, 定義上, 脳機能の障害である。しかし画像診断上, ほとんどの症例で後天的な脳損傷のような病巣はみられない。発達障害を神経心理学的に理解するためには, 病巣にもとづく局在論とは異なるアプローチが必要である。Jackson や山鳥が築いてきた非局在論的神経心理学では, 系統発生, 個体発生, そして微小発生の過程で階層的に展開し, 創発するものとして心理過程を説明しようとしてきた。この学派の見地からみると, 発達障害でみられる症状の多くは, 単なる機能の欠損や非典型的な機能ではなく, 神経機構の階層構造間の解離や, ヘテロクロニー (異時性) を反映するものとみなすことができる。種や個体としての発達の履歴を意識しながら症状の病態生理を考えることが発達障害臨床における神経心理学的なアプローチの 1 つになりうると考えられる。