人間生活文化研究
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幼児の体力・運動能力に関する現状と課題
厚東 芳樹桒田 七奈美
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2020 年 2020 巻 30 号 p. 825-835

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抄録

 本稿では,幼児の体力・運動能力に関する先行研究の批判的検討より,運動嫌い・スポーツ嫌いの幼児を生まない実践研究の要件を究明するための課題の導出を試みた.その結果,幼児にとって必要な体力・運動能力は明確に定まってないものの,「人間の身体の発揮し得る能力の総称」が体力であるという立場から人間らしい立位姿勢や歩行動作の基盤づくりをおこなっていくことが重要であるものと考えられた.また,経済成長に伴う社会環境や生活様式の変化によって,子どもの運動量や体力と関わりのある生活習慣や運動習慣に乱れが生じ,結果的に体力・運動能力の低下へとつながっていたことが認められてきた.さらに,子どもの自発性と主体性を重視した自然な「遊び」という形の方が準備された運動プログラムの実施よりも継続した運動習慣の獲得へと結びつく可能性が高いこと,などが認められた.

 これらの先行史より,運動嫌い・スポーツ嫌いの幼児を生まない実践研究の要件を究明するための課題として,(1)半年以上継続的に運動を実践するなど,ある程度の長期的な取り組みであること,(2)「遊び」という要素を担保すること,という2つの要件を導出することができた.一方で,「遊び」に関しては大人が介入した「遊び」と子ども達だけの「遊び」,施設の中での「遊び」と自然の中での「遊び」といった環境要因への考慮が必要であるものと考えらえた.もっと言えば,子ども達だけの「遊び」によってより良い立位姿勢や歩行動作の基盤づくりが可能なのかという課題が残った.

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© 2020 大妻女子大学人間生活文化研究所
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