人文地理学会大会 研究発表要旨
2007年 人文地理学会大会
セッションID: 308
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第3会場
台湾における移民者問題
―増加する外国籍配偶者と地域の協力―
*塩川 太郎
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抄録

 台湾では賃金の安い労働者を求め,1990年代前半から東南アジアを中心とした国々から外国人労働者が急増した.一方,女性の社会進出や教育改革による高学歴化等によって未婚化,晩婚化が進んだ.その結果,結婚したくても結婚できない男性が増え,海外へ配偶者を求めるようになった.このような外国籍配偶者(新移民)は,都市部だけでなく,過疎化が進み花嫁不足となっている農村や離島などでも,受け入れが盛んになっている.
 現在,外国籍配偶者(大陸出身者を含める)は,38万人(2006年)に達し,台湾の少数民族よりも多くなってきている.外国籍配偶者は,期限付きで台湾に来ている外国人労働者と異なり,永住を前提としているため,生活上,言語や習慣の違いなど様々な問題が生じ,社会問題化している.さらに,受け入れの家庭によっては,暴力を受けたり,差別を受けたりするなど人権上の問題も起こっている.そのため,外国籍配偶者が台湾で生活しやすいように支援する動きが各地で始まっている.
 そこで今回の発表では,台湾の新移民者である外国籍配偶者の諸問題とその支援に注目し,現状と課題について考察を行った.

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© 2007 人文地理学会
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