抄録
文時代の遺跡から出土した様々な状態のクリ果実の大きさを比較するため,現生の自生ないし栽培に由来する様々なサイズのクリ生果実を実験的に炭化させ,炭化していない果実から炭化した子葉への炭化によるサイズ変化を検証した。果実から炭化子葉へのサイズ変化は高さ,幅ともに直線に回帰し,高い相関が得られた。この結果に基づき炭化クリ子葉のサイズから果実のサイズを復元した。さらにクリ果実の高さと幅を用いた「クリの大きさ指数」(√(高さ× 幅))と重さの立方根は直線に回帰することから,クリ果実の大きさをこの指数で示すことができることを示した。そして縄文時代の各時期から出土した化石クリの大きさ指数を比較したところ,縄文時代早期から後期まではクリの大きさ指数の平均値は増減しながらもわずかに増大傾向を示し変異幅は狭いのに対し,晩期には小さい平均値を持つ集団も存在し変異幅は極めて広いため,人々はサイズを選択することなくクリ果実を利用していたと考えられた。