2006 年 11 巻 1 号 p. 43-52
本研究では、鹿児島県屋久島において、猿害状況の異なる2地区の果樹園を対象に、空間パターンを考慮に入れた猿害予測モデルを構築し、リスクマップを作成した。モデルの目的変数は果樹の経済的被害の有無とした。説明変数は、果樹園といくつかの空間要素との距離、および猿害に対する脆弱性の地域差(猿害圧)である。ロジスティック回帰分析を行った結果、果樹園と森林・道路との距離、および猿害圧をリスク因子とするモデルが得られた。猿害圧という変数をとりいれたことで、猿害状況を定量的に比較することが可能になった。得られたモデルをもとに作成した猿害リスクマップから、既存の果樹園のリスクが明示的に示された。最後に、モデルの有効性と猿害リスクマップの利用可能性について論じた。