抄録
保全科学では社会的なニーズによって研究目的や対象種・対象地が決まる場合が多いため、常に必要十分な質・量のデータが利用できるとは限らない。必要なデータと利用できるデータの乖離、すなわちデータギャップは、しばしば研究遂行や成果普及の制限要因となっている。本稿はまず、保全科学においてしばしば言及されるデータギャップ:空間的、分類群的、時間的に存在するギャップそれぞれについて整理し、日本における現状を概観する。続いて国内における既存データベースであるS-Netに格納されたデータを分析し、データギャップの実際を定量化する。最後に、それらギャップを解消するためのアイディアや具体的な取り組みを紹介し、課題解決に向けた今後の展望について議論する。