2017 年 22 巻 2 号 p. 345-349
これまで、日本におけるオオクチバスMicropterus salmoidesの産卵可能な最小体サイズ(生物学的最小型)は標準体長(SL)230 mm前後であるとされてきた。しかし、滋賀県立大学内の人工的に造成された水域で捕獲したSL 230 mm以下のオオクチバスのうち、4個体(オス2個体、SL 162-169 mm; メス2個体、SL 182-204 mm)に生殖腺の発達が観察されたため、これらは繁殖可能個体であると推測された。本研究および既存の報告から、オオクチバスの成熟はSL 230 mm以下の個体においても起こりうることが示唆された。本水域におけるオオクチバス小型個体の成熟には亜種との交雑や餌環境、水温などが要因として挙げられるが、今後、調査地におけるこれらの要因の詳細な状況把握が必要である。また、本稿で示した小型個体の成熟は他の水域でも生じている可能性がある。