2021 年 11 巻 1 号 p. 19-24
本研究の目的は,側方への床面移動に対する外乱のタイミング予告の有無が下肢筋の筋活動に与える影響を検証することである。対象は,若年健常成人男性13名とした。測定は,右側方向へ床面を移動させる課題に対して予告有条件と予告無条件の1施行目における下肢筋の外乱前の安静時筋活動量(以下,%IEMG-rest),外乱後の最大筋活動量(以下,%IEMG-max)および筋反応時間を測定し,各測定値を比較した。その結果,%IEMG -max は予告無条件と比較して予告有条件の1施行目において左中殿筋,右前脛骨筋および右長腓骨筋で有意な高い値を示した。筋反応時間に関しては,予告無条件と比較して予告有条件において左中殿筋,左長内転筋および右長腓骨筋において有意に短縮した。%IEMG-rest は,いずれの筋においても条件間による差は認められなかった。以上のことから,若年健常者は外乱のタイミング予告を与えることで,外乱に対して姿勢制御する筋の最大筋活動量が増加し,筋反応時間が短縮することが明らかとなった。