2022 年 12 巻 2 号 p. 51-56
本研究の目的は,地域在住女性高齢者を対象に,O脚の有無に影響を及ぼす要因を明らかにし,身体機能との関連を検討することである。方法は,地域在住女性高齢者114 名を解析対象にO脚の有無を判定し,体格や身体組成,筋力,立位バランス,歩行速度などの身体機能を比較した。大腿骨内側上顆間距離が30mm 以上のO脚群53名と20mm 未満の非O脚群61名の値を比較した結果,骨格筋量,大腿四頭筋筋力,30秒椅子立ち上がりテスト,片足立ち保持時間,最大歩行速度,Timed Up & Go Test に有意差が認められ,いずれもO脚群の値が非O脚群の値より劣っていた。年齢,Body Mass Index,体脂肪率,握力,通常歩行速度に有意差は認められなかった。さらにロジスティック回帰分析の結果,O脚の有無に影響を及ぼす要因として抽出されたのは骨格筋量と大腿四頭筋筋力の2項目であった。これらの結果から,地域在住女性高齢者における骨格筋量と大腿四頭筋筋力の低下はO脚を引き起こし,さらにO脚は立位バランスや歩行能力の低下に繋がる可能性が示された。