本研究の目的は,地域在住女性高齢者を対象に,O脚の有無に影響を及ぼす要因を明らかにし,身体機能との関連を検討することである。方法は,地域在住女性高齢者114 名を解析対象にO脚の有無を判定し,体格や身体組成,筋力,立位バランス,歩行速度などの身体機能を比較した。大腿骨内側上顆間距離が30mm 以上のO脚群53名と20mm 未満の非O脚群61名の値を比較した結果,骨格筋量,大腿四頭筋筋力,30秒椅子立ち上がりテスト,片足立ち保持時間,最大歩行速度,Timed Up & Go Test に有意差が認められ,いずれもO脚群の値が非O脚群の値より劣っていた。年齢,Body Mass Index,体脂肪率,握力,通常歩行速度に有意差は認められなかった。さらにロジスティック回帰分析の結果,O脚の有無に影響を及ぼす要因として抽出されたのは骨格筋量と大腿四頭筋筋力の2項目であった。これらの結果から,地域在住女性高齢者における骨格筋量と大腿四頭筋筋力の低下はO脚を引き起こし,さらにO脚は立位バランスや歩行能力の低下に繋がる可能性が示された。
本研究の目的は,若年健常成人において座位での股関節開排筋力(Strength of the Muscles in Hip Abduction with Flexion: SMHAF)の再現性と妥当性を検討することである。若年健常者34名(男性15名,女性19名)を対象とした。座位SMHAF の再現性について,テスト―再テスト法による級内相関係数を求めて検討した。座位SMHAF の妥当性については,男女別にピアソンの相関係数を求めて,臥位SMHAF,大腿四頭筋筋力との関係を検討した。座位SMHAF の再現性は級内相関係数0. 98と極めて高かった。また男女ともに,座位SMHAF と臥位SMHAF,大腿四頭筋筋力との間に有意な相関(p<0.05)が認められた。以上の結果から,座位SMHAF は,若年健常成人において再現性と妥当性に優れた下肢筋力の指標となる可能性が示された。
【目的】本研究の目的は短期集中型通所サービスにおいて,運動介入による特定高齢者の運動機能向上に必要な期間を検討することである。 【対象と方法】当法人の短期集中型通所サービスの運動機能向上プログラムを6ヶ月間利用した特定高齢者37名を対象とし,握力,開眼片脚立位保持時間,5 m歩行時間,Timed up & go test について利用開始時,介入3 ヶ月,介入6ヶ月の結果を後方視的に分析した。 【結果】握力,開眼片脚立位保持時間は介入効果の有効性が確認できなかった。5 m 歩行時間,Timed up & go test は利用開始時,介入3 ヶ月,介入6ヶ月と有意に速くなった。 しかしながら,介入3 ヶ月と介入6ヶ月には統計学的な有意差は確認できなかった。 【結論】本研究の結果から,短期集中型通所サービスの運動介入は3 ヶ月以内に5 m歩行時間とTimed up &go test を指標とした運動機能を向上させる可能性を示唆した。