抄録
【目的】本研究は,理学療法士を配置する病棟の高齢血液腫瘍患者における体重減少と身体機能およびQOL の関連性を明らかにすることを目的とした。【方法】化学療法を受けた220名の患者を対象に,入院中の体重減少の有無により2 群に分け, 有害事象の発現について比較した。さらに,入院時と退院時の身体機能(握力,立位バランス,歩行自立度)とQOL の変化について,二元配置分散分析を用いて比較した。【結果】減少群は,有害事象の発現が多かった。二元配置分散分析の結果,群の主効果,交互作用いずれにおいても有意差は認められなかった。歩行自立度とQOL については,時期による主効果が認められ,両群とも退院時に改善していた。【結論】本研究の減少群は,有害事象の発現が多かった。ただし,理学療法士を配置する病棟では,体重減少患者の身体機能とQOLは維持・改善された。病棟に理学療法士を配置することは,入院中の身体機能とQOL の低下を防ぐことに貢献する可能性がある。