ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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13 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 岩本 航平, 萩原 崇, 髙川 晃敏, 堀江 淳, 村田 伸
    2023 年 13 巻 2 号 p. 51-56
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,要介護認定高齢者における6 分間歩行距離の縦断的変化と身体機能との関連について検討することとした。対象者は,通所リハビリテーションを利用する要介護認定高齢者93名(年齢:81. 8±6. 5歳,男性:33名,女性:60名)とした。6 分間歩行距離がベースラインから6 か月間で17. 8m 以上改善した者を改善群(52名),それ未満の者を非改善群(41名)とした。群(改善群と非改善群)と時期(ベースラインと6 か月後)を2 要因とした反復測定二元配置分散分析を行った。その結果,大腿四頭筋筋力,歩行速度,TUG に交互作用を認め,すべての項目で改善群のみ6 か月後に有意な改善を認めた。また,多くの項目で中程度の効果量を示した。これらの結果から,要介護認定高齢者における6 分間歩行距離の改善には,大腿四頭筋筋力や歩行速度,動的バランス能力といった複合的な身体機能の向上が関連することが示された。
  • 岩﨑 優作, 江口 誌音, 久原 渉吾, 池原 光, 岩本 航平, 岩瀬 弘明
    2023 年 13 巻 2 号 p. 57-62
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,男子大学生の主観的健康感と健康度および生活習慣との関連について検討することである。既往歴のない男子大学生150名を対象に,主観的健康感と生活習慣についてアンケート調査を実施した。重回帰分析を用いて主観的健康感に関連する因子を検討した結果,身体的健康度,精神的健康度,食事のバランス,食事の規則性,睡眠の充足度の5項目が抽出された。運動に関する項目は,主観的健康感と関連が認められなかった。これらのことから,男子大学生の主観的健康感には身体・精神的健康度や食事,睡眠が関連しており,男子大学生の主観的健康感を高めるためには,これらの要因にアプローチすることが重要となる可能性が示された。
  • ―理学療法士の配置病棟における調査―
    小藤 大樹, 村田 伸, 菱澤 方勝, 宮﨑 博子
    2023 年 13 巻 2 号 p. 63-69
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】本研究は,理学療法士を配置する病棟の高齢血液腫瘍患者における体重減少と身体機能およびQOL の関連性を明らかにすることを目的とした。【方法】化学療法を受けた220名の患者を対象に,入院中の体重減少の有無により2 群に分け, 有害事象の発現について比較した。さらに,入院時と退院時の身体機能(握力,立位バランス,歩行自立度)とQOL の変化について,二元配置分散分析を用いて比較した。【結果】減少群は,有害事象の発現が多かった。二元配置分散分析の結果,群の主効果,交互作用いずれにおいても有意差は認められなかった。歩行自立度とQOL については,時期による主効果が認められ,両群とも退院時に改善していた。【結論】本研究の減少群は,有害事象の発現が多かった。ただし,理学療法士を配置する病棟では,体重減少患者の身体機能とQOLは維持・改善された。病棟に理学療法士を配置することは,入院中の身体機能とQOL の低下を防ぐことに貢献する可能性がある。
短報
  • 佐藤 勇太, 田中 聡, 飯田 忠行, 積山 和加子, 谷井 真梨子, 古西 恭子, 瀬尾 優奈
    2023 年 13 巻 2 号 p. 71-80
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,シルバーリハビリ体操指導士養成講習会の受講後の体操教室開催が高齢者の1年後の心身機能に与える影響について明らかにすることとした。対象は,シルバーリハビリ体操指導士(指導士)とし,受講直後から受講1年後まで指導士活動を行わなかった活動なし群と,1回以上の指導士活動を行った活動あり群に分けた。評価項目は,握力,開眼片脚立位保持時間,うつや不安障害に対するスクリーニング調査票(K6日本語版),高齢者向け生きがい感スケールの調査票(K- Ⅰ式),および気分プロフィール評価の調査票(POMS2® 短縮版)とし,指導士養成講習会受講受講直後および受講1年後に評価を実施した。その結果,指導士として活動を行った高齢者は,1年後にも握力を維持できる可能性が推測された。
  • 非劣性試験
    武田 広道, 堀江 淳, 横田 俊祐, 山本 若奈, 松岡 小梅, 池松 陽希, 岩城 隼人, 小谷 駿介, 森 悠馬
    2023 年 13 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:不織布マスクを装着しても非装着時と比較して最高酸素摂取量(Peak V ・O2/ kg)は劣らないという仮説を非劣性試験で検証することを目的とした。方法:健常若年男性29名(年齢20. 7±0. 8歳)に対して,不織布マスク着用有り条件と着用無し条件で心肺運動負荷試験を実施した。評価指標はV ・O2/kg とした。統計解析では,不織布マスク無し条件に対して,不織布マスク有り条件のPeak V ・O2/kg における非劣性試験を実施した。結果:非劣性試験の結果,Peak V ・O2/kg(差の平均値[95% 信頼区間],1. 08[-0. 77 to 2. 93])は非劣性マージン(3. 5 mL/kg/min)の上限内に収まっており,不織布マスク無し条件と比較して不織布マスク有り条件で非劣性が達成された。結論:不織布マスクの装着は,不織布マスク無し条件と比較してPeak V ・O2/kg が低下しないことが示された。
活動報告
  • 谷 佳成恵, 津田 彰, 村田 伸
    2023 年 13 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では第1 の目的として,住宅型有料老人ホームに入居する高齢者33名を対象として,下肢筋力と歩行速度との間の関連性を検討した。第2 の目的として,対象集団の下肢筋力の強度の違い(弱・平均・強)が,下肢筋力と歩行速度との間の関連性へ及ぼす影響を検討した。下肢筋力は30秒椅子立ち上がりテスト(30-sec Chair-Stand test; CS-30)によって測定した。歩行パラメータは歩行速度,歩行率,ストライド長,歩幅,歩隔,つま先角,歩行角,立脚時間,両脚支持時間,遊脚時間を測定した。3群間の比較の結果,下肢筋力,歩行速度,歩行率,ストライド長,歩幅,歩隔,歩行角,立脚時間,両脚支持時間に有意差を認めた。各群におけるSpearman の順位相関分析の結果,弱群のみ下肢筋力と歩行速度との間に有意な正の相関を認めた。下肢筋力の低下に伴い歩行速度が遅くなること,下肢筋力の強度の違いによって,下肢筋力と歩行速度との間の関連性は異なることが示唆された。
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