抄録
本研究は,脳卒中片麻痺者9名(平均年齢67.6±12.4歳)を対象に,短下肢装具装着による効果について,歩行分析装置を用いて検討した。その結果,短下肢装具装着時の歩行パラメータは,裸足時と比べ歩行速度と歩行率が有意に増加した。また下肢の非対称性の減少に加え,非麻痺側立脚時間は有意な短縮を認め,非麻痺側遊脚時間は有意な延長を認めた。これらの知見から,短下肢装具装着の効果は麻痺側下肢よりむしろ非麻痺側下肢に影響を及ぼすことが示された。よって,脳卒中片麻痺者の歩行分析では,AFO 装着肢のみならず非装着肢も含めた評価の重要性が示唆された。