2017 年 7 巻 1 号 p. 19-22
本研究の目的は,要介護高齢者143名を対象に50m ラウンド歩行テストに影響を及ぼす要因を検討することである。方法は,上下肢筋力,30秒椅子立ち上がりテスト(CS‐30),Functional reach test(FRT),片足立ちテストと50m ラウンド歩行テストとの関連から分析した。50m ラウンド歩行テストと有意な相関を認めたのは,相関係数が高い順にCS‐30(r=-0.48),FRT(r=-0.40),大腿四頭筋筋力(r=-0.23),片足立ちテスト(r=-0.20),握力(r=-0.17)であった。Stepwise 法による重回帰分析の結果,50m ラウンド歩行テストに影響を及ぼす要因は,CS‐30(β=-0.39)とFRT(β=-0.28)が抽出された。これらのことから,50m ラウンド歩行テストは,上下肢筋力や静的バランスよりも筋持久力や動的バランスに影響を受けるテストであることが示唆された。