2015 年 23 巻 p. 70-74
機能性色素顔料をスケールダウンしたナノ粒子の創出は,今日もなお魅力的な課題である.しかし,機能性色素顔料の多くは溶媒への溶解度が低く,環境負荷が高い方法を用いてもスケールダウンが困難である.そこで,本研究では難溶性により再沈法では作製困難な錯体にも適用可能なナノ粒子化法『ナノ固相反応法』を開発した.すなわち,予め再沈法により配位子分子をナノ粒子化した後,分散液に金属塩を添加したところ,難溶性錯体の合成とナノ粒子化を同時に達成することに成功した.さらに,得られた錯体ナノ粒子の蛍光スペクトルは,対応するバルク結晶より長波長シフトしており,ナノ粒子化したことで粒子内での分子の立体配座が変化したことに起因すると結論付けた.また,ナノ粒子をアニーリングして結晶化度を向上させることで,発光強度を高めることに成功した.