2015 年 23 巻 p. 169-172
湿式造粒プロセスにおいて,粉体層内部への液分散はプロセスの最適化や製品の品質管理において重要であり,数値計算による現象の理解促進が望まれている.本研究では,離散要素法(DEM)において個々の粒子表面の部分濡れを考慮した,粒子同士の接触による液輸送モデルの開発を行った.開発されたモデルでは個々の粒子の表面を細分化し,それらの分割面同士での液の移動を時間とともに追跡することで,粒子の局所的な濡れやその分布を表現した.開発モデルは種々の造粒機内の粉体層への液の分散予測に適用された.その結果,Shi & McCarthyモデル(Shi D. and McCarthy J. J., 2008)に代表される既存のモデルでは,高粘度の液のように液流動性が悪い場合は液分散速度を過大評価してしまう問題があり,DEMにおける粒子表面の部分濡れを考慮することの重要性が示唆された.