2022 年 30 巻 p. 58-64
粉体の機能化を図るうえで,粉体の構造と機能を分類することは重要であり,その方法の一つとして機械学習が用いられる.機械学習を材料設計に応用するためには分類精度向上に寄与する因子の“見える化”が重要と考え,原因分析が可能なマハラノビス-タグチ(MT)法を用いることを試みた.モデル粉体材料としてカブトムシ三齢幼虫が排出する糞を対象とし,雌雄分類精度向上に寄与する糞形状が糞の表面粗さに関係する因子であることを明らかにした.雌の糞に含まれるバインダー量が雄のそれより優位に多いことを考慮すると,腸内でプレス成形された糞が体外に排出される際に,雌の糞は形を崩しやすいのではないかと推測される.MT法は,粒子の構造と機能の分類においても,いわゆる個体差に類似したばらつきを除外し,分類精度向上を目指す手法としての展開が期待できる.