2023 年 31 巻 p. 146-150
ペロブスカイト型酸窒化物BaTaO2Nは可視光応答光触媒として応用が期待される化合物である.本研究では,酸窒化物の微粒子化と結晶性向上を目的に窒素含有BaCN2フラックスを用いた酸窒化物微粒子の合成条件と結晶性および微細組織の関係を検討した.BaCN2とTa2O5の混合粉をN2雰囲気中750°C以上の温度で加熱することで,BaTaO2Nを得た.BaTaO2N単一相を得るにはBa過剰のBaCN2/Ta2O5組成の原料が必要だった.NH3を用いた合成手法では結晶子径が40 nmだったBaTaO2Nは,BaCN2を用いた本研究の手法では結晶子径が100 nmまで増加し,結晶性の向上が確認できた.また生成物にはペロブスカイト型構造の(111)面と(100)面が発達した切頂八面体型の粒子が得られた.BaCN2フラックスを用いることで,特定の結晶面が発達した高結晶性の酸窒化物微粒子の合成に成功した.