2024 年 32 巻 p. 44-48
循環型資源である木材資源の有効利用が求められている.本研究では,木材資源から様々な形状の製品を自在に製造する方法として,木材にスクロースおよびクエン酸から構成される天然系バインダを混合し,成形加工する方法を提案する.成形時における加熱温度・時間および粒子サイズが木粉の流動性,ならびに成形品の強度に及ぼす影響をキャピラリー流動試験によって調査した.加熱温度,時間および粒子サイズを適正化することによって,木粉は高い流動性を示した.また,流動試験時の温度が高くなるほど,押出成形品の強度は高くなった.流動試験結果に基づき,射出成形や後方押出試験を行った結果,容器状の成形品を得ることに成功した.以上の結果より,天然系バインダを混合した木粉を成形加工するにあたって,適正な加熱条件および木粉の粒子サイズを明らかにした.