2024 年 32 巻 p. 49-53
本研究は,化学気相析出(CVD)を用いたテンプレート法によるセラミック中空粒子の合成プロセスを構築するため,CVDのコーティング条件が中空粒子のシェル厚さや微細構造,比表面積や細孔構造に及ぼす影響を調べた.炭酸カルシウムテンプレート粒子に回転CVDによりシリカ層をコーティングし,得られたコアシェル粒子を塩酸処理することでシリカ中空粒子を作製した.テンプレート粒子形状を保持し,シェル厚さが10–30 nmの中空構造を持つシリカ中空粒子が形成された.成膜時間240 minで作製したシリカ中空粒子の比表面積は75 m2/gであり,成膜時間の短縮にともない増加し,成膜時間60 minでは466 m2/gであった.また,本プロセスのコーティング層をチタニアとすることでチタニア中空粒子が合成でき,多様なセラミック中空粒子合成への適用可能性を示した.