2025 年 33 巻 p. 90-93
PFAS(per- and polyfluoroalkyl substances)は有機フッ素化合物の総称であり,優れた耐熱性・耐薬品性・撥水撥油性を有する.そのため,工業プロセスのほか,日用品や食品包装材,泡消火器など,幅広く利用されている.しかしながら,PFASは極めて難分解性で環境中に長期間残留しやすく,近年では腎臓がんや免疫障害,発達毒性などの健康被害との関連も報告されている.現在,浄水処理ではPFASの除去に活性炭が用いられているが,その除去性能は十分とはいえない.したがって,より高性能な除去材料の開発が急務となっている.本研究では,ジルコニア粒子を用いたPFAS除去の可能性を検討した.その結果,ジルコニアは特定のPFAS分子に対して結合能を示すことが明らかになった.結合機構は主として静電相互作用に基づくものであることが示唆された.吸着はpHによって制御することが可能であった.ジルコニアは地殻中に豊富に存在する資源であり,化学的安定性や機械的強度,安全性にも優れることから,浄水処理プロセスに利用可能なPFAS除去材として期待される.