園芸学研究
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収穫後の貯蔵・流通
香酸カンキツ‘新姫’の全果実および部位別フラボノイド成分量
市ノ木山 浩道前川 哲男後藤 正和
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2012 年 11 巻 3 号 p. 387-391

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抄録

香酸カンキツ‘新姫’,タチバナ(C. tachibana Tanaka),シィクワーサー(C. depressa Hayata)成熟果実のフラボノイド含量をフラベド,アルベド,維管束,じょうのう膜,砂じょうおよび種子に分別して比較検討した.フラボノイドは高速液体クロマトグラフ法に従って分離同定し,エリオシトリン,ナリルチン,ヘスペリジン,ネオポンシリン,シネセチン,ノビレチン,タンゲレチンを分析定量した.その結果,7種類のフラボノイド成分の含量は,種・品種間および部位間で有意差が認められた.‘新姫’は,シィクワーサーとタチバナよりもエリオシトリン,ナリルチン,ネオポンシリン,シネセチンの各含量が高かった.また,7種類のフラボノイド含量の総和は,タチバナより高かった.一方,ノビレチン含量はシィクワーサーの65%と有意に低く,タチバナと同程度であった.タンゲレチン含量は,タチバナとシィクワーサーのそれぞれ30%,24%と有意に低かった.‘新姫’果実の部位別のフラボノイド含有量は,エリオシトリン,シネセチン,ノビレチンおよびタンゲレチンがフラベドで最も高く,ナリルチンとネオポンシリンが維管束で最も高く,ヘスペリジンが維管束とアルベドで最も高かった.

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© 2012 園芸学会
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