園芸学研究
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栽培管理・作型
花冠取り器によるブドウ‘サンヴェルデ’のさび果軽減効果
薬師寺  博山﨑 安津東 暁史杉浦 裕義
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2013 年 12 巻 1 号 p. 51-56

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抄録
花冠取り器によるブドウ‘サンヴェルデ’の花冠除去効果ならびにさび果の軽減効果への影響を検討した.花冠の離脱性を‘巨峰’,‘ピオーネ’および‘サンヴェルデ’で比較した結果,第1回ジベレリン処理3日後の花冠落下率は,‘サンヴェルデ’が最も低かった.‘サンヴェルデ’の満開期の子房および花冠は他の品種より細長で花糸長が短く,花冠の裂開が少ないため,花冠が難離脱性であると考えられた.第1回ジベレリン処理時にブラシ素材の異なる3種類の花冠取り器を使用したが,いずれも処理3日後の花冠落下率が対照区(カップのみ)の2~3倍と有意に高く,処理10日後には80%以上の花冠が落下した.花冠完全除去および花冠取り器処理による果実品質への影響は認められなかった.さび果の甚の割合は,対照区で最も多かった.花冠取り器区は,花冠完全除去区よりさび果の軽減効果はやや劣ったが,対照区に比べてさび果発生度およびさび果の甚の発生率は減少した.これらの結果から,花冠取り器は,‘サンヴェルデ’の花冠除去効果が高いこと,さび果の発生程度を対照より軽減できることが明らかになった.
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© 2013 園芸学会
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