抄録
ブドウ‘クイーンニーナ’における環状はく皮処理において,樹勢低下を回避しながら毎年安定した着色向上効果を得る目的で,主枝更新せん定を併用した連年の環状はく皮処理法を考案した.環状はく皮処理幅は,4 mmより12 mmの方が着色向上効果が高かった.新梢当たりの花穂着生数は,主枝更新せん定の方が短梢せん定より有意に多かった.果粒重は,主枝更新せん定の方が短梢せん定より有意に小さかった.環状はく皮処理により,無処理に対し有意に着色が向上したものの,せん定法による差はみられなかった.小根中貯蔵炭水化物含量は,主枝更新・環状はく皮処理で多く,短梢および短梢・環状はく皮処理に対し有意差が認められた.このことは,環状はく皮による根の貯蔵養分減退が,主枝更新せん定で緩和できる可能性を示していた.