抄録
ニホンナシでは,いや地現象の発生によって改植した若木の生育が不良になることが多い.そこで,改植時に客土,活性炭および活性炭フロアブル剤を施用して,いや地現象の軽減効果を検討した.その結果,客土区における若木の生育は,定植1,2年目の新梢伸長量が無処理区に比べて有意に大きくなり,2年目の生体重が無処理区の1.7倍となった.一方,活性炭区およびフロアブル区の若木の生育は,無処理区と比べ有意な差が認められなかった.さらに,客土に加えて定植後に若木の主幹を中心とした地表面をマルチ処理することによって,定植1,2年目ともに新梢の発生本数が客土区より多くなり,若木の生育がさらに促進された.これらのことから,改植ほ場において,客土はいや地現象の軽減に効果があることが明らかになった.さらに,客土とマルチ処理を併用することで,若木の生育がより促進され,早期成園化が図れるものと判断された.