ブバルディアの遺伝資源20品種・系統について交雑能力を評価し,育種素材としての有用性を明らかにした.原種ではBouvardia longiflora 1系統,B. ternifolia 2系統,ハイブリッド系では4倍体4品種,8倍体9品種を供試した.また,4倍体品種からコルヒチン処理により作出した8倍体4系統も加え,計20品種・系統を用いた.種子親には全20品種・系統を,花粉親には花粉を採取できた13品種・系統を用いて相互に交配し,結実率,1果当たり種子数,発芽率,および1花当たり実生数を調査した.交配結果をもとに,雌性または雄性稔性を0~5(無~高)の6段階で,自殖稔性を0~4(無~高)の5段階で評価した.計137組合せの交配を行った結果,68組合せ(50%)で種子が得られ,59組合せ(43%)で発芽実生が得られた.雌性稔性については,18品種・系統で稔性有り(2以上)と確認された.ハイブリッド系4倍体品種では雌性稔性が総じて低かったが,その倍数体(8x)では顕著に稔性が回復した.雄性稔性については,10品種・系統で稔性有り(2以上)と確認された.原種および多くのハイブリッド系8倍体品種は3~5と,中以上の雄性稔性を示した.自殖稔性については,稔性有りと判定されたのは5品種・系統のみであった.倍数体を含めた16品種・系統は,いずれかの稔性が中(3)以上であり,交雑育種を行ううえで有用な素材であると考えられた.