園芸学研究
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収穫後の貯蔵流通
近赤外分光法を用いた ‘古山ニューサマー’ の非破壊種子数予測
浜部 直哉馬場 明子宗野 有雅池ヶ谷 篤大場 聖司種石 始弘馬場 富二夫野田 勝二
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2023 年 22 巻 1 号 p. 89-97

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抄録

伊豆在来ヒュウガナツの枝変わり品種で,無核性を有する ‘古山ニューサマー’ について,近赤外分光法による種子数の予測精度を検証した.二次微分処理後における730~970 nmのスペクトルから糖度,完全種子数,全種子数,完全種子重,全種子重予測用の検量線を作成し,検量線の精度を評価したところ,完全種子重を除く4つの測定項目で高い精度であると評価された.また,全種子数5個以下を少核果,6個以上を多核果とみなし,予測値と実測値から正解および不正解率を算出したところ,検量線評価試料に種子数5個ないし6個の境界値付近の果実が少ない状況ではあったものの,正解率は92.0%と高く,消費者からのクレームにつながると考えられる種子数が多い果実を種子数が少ない果実であると予測する不正解は認められなかった.5つの異なる果実部位に照射して得られたスペクトルで作成された検量線の精度は少し高いと評価され,不正解がわずかに認められたものの,実用上,大きな問題になる可能性は低いと考えられた.また,採取年次が異なる3か年分の果実で検量線の作成と評価を行ったところ,検量線作成試料に全種子数が最も多い2020年産と最も少ない2018年産を用いた場合の検量線において高い精度であると評価され,無核果から多核果までの幅広い検量線作成試料を用いることで,種子数の予測精度を高められると考えられた.以上から,無核,少核の ‘古山ニューサマー’ を安定的に供給するための選果技術として,近赤外分光法を利用可能であることが明らかになった.

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