園芸学研究
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収穫後の貯蔵・流通
カンキツ‘清見’の低温貯蔵果実への中間温度処理が長期貯蔵性ならびに抗酸化性に及ぼす効果
池田 富喜夫馬場 正伊藤 真悟
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2004 年 3 巻 4 号 p. 421-424

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抄録

カンキツ‘清見’の長期貯蔵を達成するために,5℃,95%の低温高湿貯蔵約3か月後に,30,23,13,6,3℃の各中間温度処理を4日間行い,再び11月中旬まで低温高湿貯蔵を行った場合の果実品質へ与える効果を検討した.1)中間温度処理が23℃以上の場合,その後の果重の減少率が低くなった.しかし,目減りの抑えられた果実の多くに果皮障害の褐色斑がみられ,商品性を損ねた.
2)糖度や酸度などに及ぼす中間温度処理効果は処理温度の間で差異が小さかった.
3)果皮フラベドの抗酸化性は約9か月間貯蔵後においても処理区間で大きな違いはなかった.しかし,褐色斑を持つ低温障害果では,抗酸化性が極めて低かった.抗酸化物質の一つである総フェノール含量は約9か月の貯蔵後でも一定のレベルで保持されていたが,果皮の低温障害果では少なく,その低下は褐色斑の発症と何らかの関係をもつものと推察された.

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© 2004 園芸学会
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