抄録
培養液の排出による環境への影響を抑制することを目的として開発した養液栽培用の改良処方培養液が,培地内溶液濃度,トマトの生育および収量に及ぼす影響を検討した.養液栽培装置は培地にスギ樹皮を用いた毛管給液併用の閉鎖型養液栽培システムとした.培養液は大塚A処方と,これよりK濃度を高め,Ca,MgおよびSO4濃度を低めた改良処方とした.培地内溶液のEC,NO3−N,Ca,MgおよびSO4濃度は改良処方で低かった.収量は改良処方で多く,上段花房の茎径は太かった.本システムで改良処方を用いた場合,NO3−Nを全く排出せずにトマト1株12果房から18.2 t・10 a−1の収量が得られた.