園芸学研究
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普及・教育・利用
異なる栽培管理方法で生産されたウンシュウミカンの嗜好性
奥田 均市ノ木山 浩道須崎 徳高平塚 伸松葉 捷也
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2008 年 7 巻 1 号 p. 129-133

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抄録
シートマルチ栽培したウンシュウミカン園などで発生するキク形状を有する果実に対する消費者の嗜好性を評価するため,マルチ栽培で生産されるキク形状を有さない果実(マルチタイプI)とキク形状の果実(マルチタイプII),および露地栽培で生産される果実(露地タイプ)について,16歳以上の309名を対象にアンケートを実施し302名(男127名,女175名)の有効回答を得た.
その結果,マルチタイプIIの支持が64.5%で最も高く,マルチタイプI(19.9%),露地タイプ(15.6%)と続いた.選んだ理由には甘み,糖酸のバランスがあげられた.
各タイプの支持者を年齢・男女別に分けて支持の特性を分析したところ年齢が高くなるほど女性を中心にマルチタイプを好むことが明らかになった.
甘みに対する評価はタイプ支持者間で異なったが,いずれのタイプ支持者も酸に対する評価では差はなかった.形状・外観では露地タイプ,マルチタイプIを支持したグループはマルチタイプIIを劣ると判断したもののマルチタイプIIを支持したグループはタイプ間の差は小さいと判断した.剥皮性についてはいずれのタイプ支持者もマルチタイプIIが劣るとした.
本アンケートの結果から供試した3タイプの果実の中ではマルチ栽培により発生したキク形状を有するウンシュウミカン果実の嗜好性が総合的に見て高いことが示唆された.
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© 2008 園芸学会
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