抄録
スクロース濃度0%から15%の処理液が蕾切りカーネーションの花弁色調に及ぼす影響を調査するとともに,開花時に花弁中の糖質および色素の濃度を定量した.
処理液のスクロース濃度が高いほど,明度が低く,彩度が高く,色相角度が低くなる傾向が認められた.すなわち,スクロース濃度を高くすることにより,花弁の淡桃色が濃くあざやかになった.開花時の花弁では,処理液のスクロース濃度を高くすると,フルクトースとグルコースの濃度が著しく増加した.スクロース濃度はわずかに増加し,ピニトールおよびミオイノシトールの濃度にはほとんど変化がなかった.開花時の花弁には色素として,ペラルゴニジン3-グルコシド(Pg3-G)とペラルゴニジン3-(6"-マリルグルコシド)(Pg3-MG)の2種類のアントシアニンが存在し,特にPg3-MG濃度が高かった.処理液のスクロース濃度を高くするほど,花弁中のアントシアニン濃度が増加し,特にPg3-MGで顕著であった.以上の結果から,高濃度のスクロース処理は花弁に多量の糖質を供給し,アントシアニンの生合成が促進されることによりPg3-MGやPg3-G濃度が上昇し,その結果花色発現が良好になると考えられた.