抄録
グローバル競争環境では、戦略経営が業績向上に向けて実施されてきた。企業組織は、ドメイン戦略と全体収益を管理する持株会社と複数カンパニーに再編成され、分権化と多角化のメリットを求めた。カンパニーは、本社方針に準拠した事業単位と革新の経営責任を求められる。筆者は、この潮流に「プログラム戦略マネジメント」に着眼し本論の主題とする。カンパニーが、数年単位で革新業績で既存業績の15〜20%を実現することは容易ではない。しかし、この手法は、重複投資のムダを無くし、複数プロジェクト間で相乗効果を着実に確保する潜在力を持つ。一般に組織は変革を嫌うが、成果が組織に「見える化」すると、社員のモーティベーションが刺激され、好循環が見られる。P2Mの基本視点は、価値創造の三本柱となるプログラムの戦略、組織、知識資源に関するポジショニングである。氾濫する戦略論に全社とプログラム適用の誤認も発生する。プログラムマネジャーには、ミッションに整合した個別戦略の選択と実践行動に「知識指針」が必要である。