抄録
製造や生産の技術は進化し、顧客の要求は多様化、複雑化している。企業による大量生産、コストダウン、性能改善の努力だけでは、いずれは製品のコモディティ化や低価格化が始まり、企業の競争優位や収益は縮退し、顧客による購買や満足度も低下することが懸念される。このような製造業のライフサイクルの問題を回避するためには、新たな価値を創造し提供するためのスタートアップが求められる。本稿では、プログラムの起点となるプロファイリングマネジメントに、不確実性が高い状況で新たな価値を導出するための現状の把握と推論のプロセスを補完した。その結果、技術や経験の偏重を抑制し、各利害関係者の関心、制限、工夫などを抽出することができ、新たな価値を創造するためのシナリオを設計することができた。さらに、本研究の手順を、利害関係者との価値共創を図るための、プロファイリングマネジメントプロセスとして提示した。本研究は、起業や企業内のイノベーション創出といったスタートアップの支援に貢献することが期待できる。