印度學佛教學研究
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Dīpaṃkaraśrījñānaに帰せられる死と転生の儀軌
望月 海慧
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2021 年 69 巻 3 号 p. 1124-1132

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抄録

筆者は,本誌の前号において,「Dīpaṃkaraśrījñānaの13のマントラの流儀」として編纂された儀軌文献のうち,最初の導入に続く,灌頂,三昧耶,マンダラ,水供養,護摩,天供養の6つの文献について報告した.本稿では,すでに発表済みの最後の小像作成の儀軌を除く後半の5つの文献について報告する.

最初のĀyūḥsādana (P. no. 4863)は,金剛の寿命を成就する方法としての儀軌をまとめたものである.Mṛtyuvañcana (P. no. 4864)は,死兆の解説とそれを欺く儀軌からなり,死兆は外と内に分けられ,前者はさらに夢と視覚されるものに分けて解説されている.Mumūrṣuśāstra (P. no. 4865)は,菩提心を浄化する儀軌の解説であり,輪廻を排除する10想と,解脱を望む7念と,菩提心をとどめる儀軌からなる.Śmahoma (P. no. 4866)は,寿命を移す者の業障を浄化する儀軌を偈頌によりまとめたものである.Saptaparvavidhi (P. no. 4867)は,転生者が善趣を獲得するために49日の間行う儀軌からなる.以上の5つに小像作成の儀軌を加えた後半の6つは,「13のマントラの流儀」のうち死と転生のための儀軌となる.

これらの6つの儀軌のうち,最初の3つは儀軌の行為者が自らのために行うものであり,後半の3つは行為者が死者のために行うものとなっている.これらの13文献は,その著作スタイルの異同からも,編纂者がDīpaṃkaraśrījñānaの著作とされるものから死と再生に関する儀軌文献を選択して編集したものと考えられる.

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